3ニーファイ1章

01 さて、第九十一年が過ぎ去った。それはリーハイがエルサレムを去った時から六百年であり、その年には、ラコーニアスが大裁き司であり、国の総督であった。

02 ヒラマンの息子ニーファイは、真鍮の版と、それまで書き継がれてきた全ての記録と、リーハイがエルサレムを去って以来神聖に保存されてきた全ての品々に関する責任を、長男のニーファイに委ねて、ゼラヘムラの地を去っていた。

03 彼はその地を去ったが、彼がどこへ行ったかは誰も知らない。そして、彼の息子ニーファイが父に代わって記録を、即ちこの民の記録を書き継いだ。

04 さて、第九十二年の初めには、見よ、預言者達の預言が更に完全に成就し始めた。民の中に更に大きなしるしと、更に大きな奇跡が行われ始めたからである。

05 しかし、レーマン人サムエルによって述べられた言葉の成就する時は過ぎ去ったと言い出す者達が何人かいた。

06 彼らは同胞の事を喜び始めて、「見よ、時は過ぎ去り、サムエルの言葉は成就していない。だから、貴方方がこの事を喜び、信じたのは、むなしい事だった」と言った。

07 そして彼らは、国中に酷い騒動を起こした。そこで、信じていた人々は、述べられている事が何らかの理由で起こらないような事がありはしないかと、非常に悩み始めた。

08 しかし見よ、彼らは、まるで夜のない一日のような二昼一夜を確固として待ち設け、自分達の信仰がむなしいものでなかった事を知ろうとした。

09 さて、信仰心のない者達はある一日を特に定め、預言者サムエルによって告げられたしるしがその日までに現れなければ、これらの言い伝えを信じている全ての人を殺す事にした。

10 さて、ニーファイの息子ニーファイは、自分の民のこの悪事を見て、心に非常な憂いを覚えた。

11 そこで彼は、出て行って地に伏し、自分の民の為に、即ち先祖の言い伝えを信じている事で殺されようとしている人々の為に、熱烈に神に叫び求めた。

12 そして彼は、終日熱烈に主に叫び求めた。すると見よ、主の声が彼に聞こえて言われた。

13 「頭を上げて、元気を出しなさい。見よ、時は近い。今夜、しるしが示され、明日、私は世に来る。そして私は、聖なる預言者達の口を通して語ってきた全ての事を成就する事を、世の人々に示す。

14 見よ、私は、世の初めから人の子らに知らせてきた全ての事を成就する為、また父と子の両方の思いを行う為に、私自身の民の元へ行く。私自身の故に父の御心を行い、私の肉の故に子の思いを行う。見よ、時は近い。今夜、しるしが示されるであろう。」

15 さて、ニーファイに下された御言葉は告げられた通りに成就し、見よ、太陽が沈んでも少しも暗くならなかった。こうして夜になっても暗くならなかったので、民は驚いた。

16 そして、預言者達の言葉を信じなかった多くの者は地に倒れ、まるで死んだようになった。預言者達の言葉を信じた者達に対して企てた殺害の大計画が破れてしまった事が分かったからである。また、嘗て告げられたしるしが既に現れたからである。

17 そして彼らは、神の御子が間もなく御姿を現されるに違いないという事を知るようになった。真に、要するに北の地でも南の地でも、西から東に至るまで全地の面にいる人々は皆、非常に驚いて地に倒れた。

18 彼らは預言者達が長年これらの事について証してきた事、また嘗て告げられたしるしが既に現れた事を知ったからである。そして彼らは、自分達の罪悪と不信仰の為に恐れ始めた。

19 そして、その夜は一晩中少しも暗くならず、まるで真昼のように明るかった。そして朝には、いつもの通りに再び太陽が昇った。そこで彼らは、しるしが与えられていたので、その日に主がお生まれになった事を知った。

20 そして、預言者の言葉の通りに、全ての事が悉く成就した。

21 そして、一つの新しい星もその言葉の通りに現れた。

22 さて、この時以後、サタンは民の心を頑なにし、彼らが見たそれらの数々のしるしと不思議を信じないようにさせる為に、民の中に偽りを広め始めた。しかし、これらの偽りと欺きにも拘らず、民の大半は信じて、主に帰依した。

23 さて、ニーファイは民の中に出て行き、また他にも多くの者が出て行き、悔い改めの為のバプテスマを施し、それによって民の中に罪の大きな赦しがあった。このようにして、民はその地に再び平和を保つようになった。

24 そして、もうモーセの律法を守る必要がない事を、聖文を使って立証しようと努めながら、教えを説き始めた数人の者がいた他は、何の争いもなかった。この数人の者は、聖文を理解していなかったので、この事を誤解したのである。

25 さて、彼らは間もなく心を改め、自分達が思い違いをしていた事を納得した。律法はまだ成就していない事と、それは悉く成就しなければならない事が彼らに知らされたからである。律法は成就しなければならず、真に、それが全て成就するまで一点一画もむなしくなる事はないという御言葉が彼らに与えられた。したがって、この年の内に彼らは自分達の思い違いを知り、自分達の誤りを告白した。

26 このように、全ての聖なる預言者達の預言の言葉の通りに数々のしるしが現れ、民に喜びの訪れがもたらされて、第九十二年が過ぎ去った。

27 そして、第九十三年も平穏に過ぎ去ったが、ただガデアントンの強盗が山々に住んでいて、この地を荒らし回っていた。彼らの砦と隠れ場が非常に堅固であったので、民は彼らを打ち負かせなかった。そのため彼らは多くの殺人を犯し、民の中で酷い殺戮を行った。

28 そして第九十四年に、ニーファイ人の多くの離反者達が彼らの所へ逃げ込んだ為、彼らは非常に増え始めた。この事はこの地に残っているニーファイ人に深い憂いを与えた。

29 また、レーマン人の中にも深い憂いを与える事柄があった。見よ、彼らには成人になった子供達と年齢の進んできた子供達が大勢いたが、彼らは独り立ちすると、あるゾーラム人達の偽りとへつらいの言葉に惑わされ、あのガデアントンの強盗の仲間になった。

30 このようにレーマン人も苦しんだ。そして、若者達の悪事の為に、彼らの信仰と義は衰え始めた。

広告を非表示にする