【美術】「名所絵から風景画へ−情景との対話」(中期)

皆様、おはようございます。宮内庁三の丸尚蔵館にて6月25日迄開催中の「名所絵から風景画へ−情景との対話」(中期)に行って参りました。その感想です。

四季山水に恵まれたわが国では,古来より風光明媚な名所が和歌の歌枕として詠み込まれ,風雅なイメージが形成されていきました。そして名所を題材にした名所絵や歌絵は人々に親しまれ,様々な変遷を遂げて,現在の私たちが親しむ風景画へと発展してきました。本展では日本人の自然観の形成と深く関わる名所絵から,身近な光景に情緒や景趣を見出そうと試みた風景画まで,近世から近代にかけて描かれた作品を中心に紹介します。

名所絵や歌絵を日本の風景画の原点と考えるなら,鎌倉から室町時代にかけて伝来した中国の山水図は,そこに一石を投じ風景描写の幅を広げたと言えます。日本では見られない懸崖な山容や神仙思想に基づく崇高な山水の姿は絵師や文人たちの心を動かし,見ることのかなわない東洋の風景は憧憬の対象となり,一種の理想郷としてわが国でも描き継がれることとなります。

江戸時代に入ると,交通網が整備され,諸国の遊歴が盛んになったこともあり,これらの概念的な名所絵,山水図とは別に実景描写に基づく真景図が登場します。絵師たちは和歌に詠まれた名所を実際に訪ね,また新たな名勝地と遭遇し,写実的で真に迫った描写を行うようになりました。

そして明治時代以降,新たに流入した西洋画を目にした画家たちは伝統的な名所や有名な景勝地でなくても,自然の明暗や大気そのものが十分に画題となり得ることを知り,新たな風景画を展開していきます。

人の心に映る風景,そしてそれを写す人の心情―その景観は,豊かな人間性が培ってきた文化の奥深さの表象とも言えます。本展をご覧いただき,美しい景色に心を託すことの歓びを再認識していただければ幸いです。

この展覧会は前期・中期・後期と分けられていて5月21日迄開催中の中期にギリギリ駆け込む事が出来ました。今回の目玉は円山応挙先生の『海辺図』と木下静涯さまの『台湾名勝絵巻』でして、こうした機会でも無いとまず出てこないんだろうなぁと思うのでありました。他には司馬江漢さまの『江ノ島之景』や床次正精さまの『噴火山之光景』等の同様の作品があって一度で良いので「名作展」では無くて「奇作・珍品展」も組んで欲しいなぁと思ったのでありました。

http://www.kunaicho.go.jp/event/sannomaru/tenrankai76.html